THINK OF THINGS閉店の真相とコクヨの狙い|文具カフェの今
原宿の喧騒から少し離れた千駄ヶ谷の路地で、多くのクリエイターや文具ファンに愛されたショップ「THINK OF THINGS(シンク オブ シングス)」。老舗文具メーカーのコクヨが「WORK AND LIFE BOUNDARIES(仕事と生活の境界)」をテーマに掲げて立ち上げたこの空間は、洗練されたオリジナル文具とこだわりのスペシャリティコーヒーが交差する独自のサードプレイスとして、一時代を築きました。
しかし、惜しまれつつ実店舗が幕を下ろして以降、ファンの間では「なぜあの大人気店が突然閉店したのか」「移転先はどこなのか」「現在の活動はどうなっているのか」といった疑問や憶測が飛び交っています。本稿では、当時の公式発表やコクヨの事業戦略、現場で生まれた熱狂の背景を徹底取材し、閉店理由の深層と2026年現在の最新動向を分かりやすく解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:千駄ヶ谷の実店舗閉店は経営不振ではなく、コクヨ千駄ヶ谷オフィスの再編と「ブランド実験フェーズ」の完遂による戦略的発展。
- 要点2:OBSCURA監修コーヒーやコッペパン、洗練されたオリジナル文具のDNAは、品川「THE CAMPUS」をはじめとするコクヨの新拠点群へ継承。
- 要点3:2026年現在はオンラインショップでのプロダクト展開や分散型の体験提供へとシフトし、単独店舗の枠を超えたライフスタイル提案を継続中。
【真相解明】THINK OF THINGSの閉店理由は?惜しまれつつ幕を閉じた背景
THINK OF THINGSが千駄ヶ谷の地で約5年8ヶ月の歴史に幕を下ろしたのは、2023年1月29日のことでした。連日多くの客で賑わい、InstagramをはじめとするSNSでも常にトレンドの一角を占めていた人気店だけに、突然の営業終了告知は文具業界のみならずカフェカルチャー界隈にも大きな衝撃を与えました。
ネット上では「コロナ禍による赤字撤退ではないか」「カフェ事業の採算が合わなかったのではないか」といった噂も囁かれましたが、関係者の証言や公式のアナウンスを精査すると、まったく異なる実態が浮かび上がります。
閉店の主たる要因は、店舗が入居していた「コクヨ千駄ヶ谷オフィス」全体のビルリニューアルおよび拠点再編計画です。THINK OF THINGSはもともと、コクヨ東京千駄ヶ谷オフィスの1階・2階を活用し、インハウスのクリエイティブチームが主導して「これからの働き方と暮らし方の実験」を街に向けて開くためのプロトタイピング拠点として構想されました。
オープンから約6年を経て、ショップはコクヨという歴史あるBtoB文具メーカーのイメージを根本から刷新する大きな成果を上げました。千駄ヶ谷という街で得られた知見やコミュニティは十分に成熟し、単一の路面店という枠組みを飛び越えて、全社規模の事業変革(品川オフィスの一般開放プロジェクト「THE CAMPUS」など)へと引き継がれるフェーズに達したと判断されたのが、閉店の決定的な背景です。
千駄ヶ谷・原宿で異彩を放った独自性|オリジナル文具とカフェメニューの熱狂
千駄ヶ谷と原宿の結節点、アパレル事務所やクリエイターの拠点が点在する千駄ヶ谷3丁目に位置したTHINK OF THINGSは、単なる文房具店でも、単なるおしゃれカフェでもありませんでした。
店内に足を踏み入れると、無機質でインダストリアルなスチール什器の上に、コクヨのロングセラーを再解釈した「オリジナル文具」が整然と並んでいました。代表的なアイテムが、1959年の発売以来測量士に愛されてきた「測量野帳」をミニマルなモノトーンや別注カラーで仕立て直したモデルです。ほかにも、書類を留める工業用クリップの真鍮仕様や、無塗装のクラフトファイルボックスなど、実用性とデザイン美を極限まで高めたプロダクト群は、多くの道具好きを魅了しました。
そしてもうひとつの主役が、三軒茶屋発の有名ロースター「OBSCURA COFFEE ROASTERS(オブスキュラ コーヒー ロースターズ)」が監修したカフェメニューです。深煎りから浅煎りまで豆の個性を引き出したドリップコーヒーやカフェラテはもちろん、看板メニューだった「コッペパンサンド」は今も語り草となっています。
注文を受けてからリベイクされるコッペパンは、定番のあんフレンチやたまごサンド、ボリュームのあるカツサンドまで幅広いラインナップを誇り、400円〜700円前後の手頃な価格帯で提供されていました。文具を選びながら、淹れたてのコーヒーと香ばしいパンを楽しむ――この一連の動線が、クリエイティブな刺激を求める人々の日常に深く溶け込んでいたのです。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
熱狂的な支持を集めたTHINK OF THINGSですが、実際に利用していたユーザーたちはどのような評価を下していたのでしょうか。当時の来店客やヘビーユーザーの証言、レビュー記録から現場のリアルを紐解きます。
まず圧倒的に高かったのが、「インスピレーションを得られる空間設計」に対する称賛です。店舗奥には緑豊かな中庭があり、2階の多目的スペース「TOT STUDIO」では定期的にデザイン関連のトークショーや企画展が開催されていました。
「仕事の合間に立ち寄ると、ノート1冊、ペン1本に対する見方が変わる」「原宿・竹下通りの喧騒を抜けた先に広がる静寂が最高だった」という声が多数を占める一方、現場ならではの課題を指摘する意見もありました。
特に週末は入店待ちの行列ができるほど混雑し、「席数が限られているため、ゆっくり作業するカフェとしては使いづらかった」「文具の単価が一般的な量販店よりも高価格帯で、気軽な消耗品としては手が出しにくかった」といったリアルな体験談も見受けられます。デザイン性を極限まで研ぎ澄ました空間ゆえに、一般的なファストカフェのような手軽さを求める層との間には、明確な意識の乖離が存在していたことも事実です。

【徹底比較】THINK OF THINGSとコクヨ新拠点の体験価値
THINK OF THINGSの精神は、現在どのように進化しているのでしょうか。かつての千駄ヶ谷店舗と、現在の主要拠点である品川「THE CAMPUS」、そして一般的な文具ライフスタイルショップとの違いを客観データとともに整理しました。
| 項目 | THINK OF THINGS(千駄ヶ谷) | THE CAMPUS SHOP(品川) | 一般的な文具カフェ・ショップ |
|---|---|---|---|
| コンセプト | WORK AND LIFE BOUNDARIES(実験型路面店) | パブリックに開かれた働く・暮らすの共創実験場 | 文具の物販併設、またはノマドワーク用喫茶 |
| 飲食機能 | OBSCURA監修コーヒー・コッペパン(独自スタンド) | コーヒースタンド併設、オープンスペース飲食可 | 汎用的な軽食やスイーツが中心 |
| 取扱アイテム | 完全オリジナル限定文具・別注ツール・厳選雑貨 | コクヨ全ブランドの精鋭・体験型文具・限定品 | 多メーカーのトレンド文具のセレクト |
| 規模・空間 | 約110坪(1階店舗・中庭、2階スタジオ) | 大規模オフィスビル低層階(公園のような広場) | 10〜30坪程度のコンパクトな店舗が大半 |
| 編集部の見解 | 尖った世界観を体験する「実験場」として最高峰 | THINK OF THINGSの知見を拡張した「完成形」 | 日常的な利便性と癒やしを提供する商業型 |
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「移転」の噂と現在の状況
閉店から月日が流れた今も、「THINK OF THINGSの移転先はどこか」という検索クエリが後を絶ちません。これにはネット上で広まったある種の誤解が関係しています。
結論から申し上げると、「THINK OF THINGS」という屋号を冠した単独の実店舗が別の場所へそのまま移転オープンしたという事実はありません。コクヨ側も「移転のための閉店」とは発表しておらず、あくまでブランドとしての店舗運営を一区切りとした形をとっています。
しかし、ブランドそのものが消滅したわけではありません。現在も「THINK OF THINGS ONLINE SHOP」は継続して運営されており、名作と名高いオリジナル文具やセレクトアイテムを購入することが可能です。また、品川駅港南口にあるコクヨのフラッグシップ拠点「THE CAMPUS」内のショップ「THE CAMPUS SHOP」では、THINK OF THINGSで培われたオリジナルプロダクトやその思想を継承したアイテムが今も手に取れます。
「店がなくなった」のではなく、「ひとつの街の実験室から、オンラインや全社プラットフォームへと役割が拡張された」と捉えるのが、2026年時点における最も正確な現状理解です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
文具とライフスタイルの境界領域において、コクヨが提示した価値観は極めて先駆的でした。現在オンラインショップ等を通じてプロダクトに触れる際、どのような人にフィットし、どのような人には注意が必要なのか、明確な判断基準を提示します。
【選んで間違いのない人】
- 日常の道具に「機能美」と「引き算の美学」を求める人:華美な装飾ではなく、測量野帳やクラフトボックスのように道具本来の佇まいを愛せる人には唯一無二の存在です。
- ワークスペースの統一感にこだわりたいクリエイター:デスクの上に置くだけで思考が整理されるような、ノイズのないデザイン文具を探している人に最適です。
- コクヨのインディペンデントなモノづくりを応援したい人:巨大メーカーでありながらインハウスデザイナーが情熱を注いだ限定プロダクトの物語を楽しみたい人に向いています。
【慎重に検討すべき人】
- 安価で実用的な事務用品だけを求めている人:一般の文房具店で100円〜200円で買えるアイテムに対し、素材や特注仕様によるプレミア価格(数百円〜数千円)が付いているため、コストパフォーマンス重視の人には割高に映ります。
- かつての千駄ヶ谷の実店舗の「カフェ空間」だけを求めている人:現在常設のカフェ店舗は存在しないため、カフェ巡りの目的地を探している人は、品川のTHE CAMPUSなど別の拠点を検討する必要があります。
【think of things】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:THINK OF THINGSの移転先となる常設店舗は現在どこかにありますか?
A1:同じ店名での移転先・後継の実店舗はありません。ただし、コクヨが品川オフィスで展開するオープン拠点「THE CAMPUS」内の「THE CAMPUS SHOP」にて、ブランドのDNAを継承したアイテムや思想をリアルに体験できます。
Q2:名物だったオリジナル文具やコッペパンは今でも購入・飲食できますか?
A2:オリジナル文具の多くは公式オンラインショップ(THINK OF THINGS ONLINE SHOP)で購入可能です。一方で、千駄ヶ谷店舗で提供されていたOBSCURA監修のコッペパンサンドは実店舗限定メニューだったため、現在は原則として提供されていません。
Q3:なぜ黒字のように見えたのに千駄ヶ谷店舗を閉店したのですか?
A3:単なる採算性の問題ではなく、入居していたコクヨ千駄ヶ谷オフィス全体の再開発・リニューアル計画が主因です。また、約6年間の実験運営を通じてブランドの認知獲得やBtoCの検証という初期の目的を達成し、より大規模な全社展開(品川拠点など)へフェーズを移行させたためです。
まとめ:文具とカフェの融合が残した遺産とこれからの展開
THINK OF THINGSが千駄ヶ谷に遺した足跡は、単なる「おしゃれな文具カフェの成功と幕引き」にとどまりません。老舗文房具メーカーであるコクヨが、自らの殻を破って街とつながり、仕事と生活の境界線を問い直した記念碑的なプロジェクトでした。
実店舗という物理的な拠点は役目を終えましたが、そこで育まれた「使う人の感性を研ぎ澄ます道具づくり」の思想は、現在も公式オンラインショップや品川の「THE CAMPUS」の中に息づいています。道具を通じて自らの暮らしや働き方を心地よく整えたいと願うなら、彼らが遺したプロダクトの世界に今一度触れてみてはいかがでしょうか。 (出典: think of things(Yahoo!ニュース))